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健診結果の見方

婦人科検診

婦人科診察は、問診、内診、細胞診、経膣超音波検査から成り立っています。

(1)問診

問診は月経の状況、妊娠および分娩歴、不正出血の有無などをうかがいます。診断の参考になりますので正確にお話し下さい。

(2)内診

内診は婦人科の医師が触診、視診で子宮、卵巣、膣などの骨盤内臓器や外性器を検査します。

(3)細胞診 (通常の検診は子宮頸がん検診のみ)

子宮膣部および子宮頸部から直接細胞を採取します。不正出血や閉経後に出血がある場合は子宮体部の細胞診も行います。

(4)経膣超音波

プローブと呼ばれる丸い細い機械を膣内に挿入して子宮、卵巣などを検査します。

婦人科疾患のご説明

子宮頸がん

子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。

子宮体がんの図

子宮頸がんの原因

最近になって子宮頸がんが発生しているほとんどの人が、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染していることがわかってきました。このウイルスは子宮頸部に感染しますが、2年以内に、ほとんどの人は自分の免疫の力でウイルスが排除されます。
しかし一部の人は感染が長期間持続し、がんの前の段階である異型細胞が増殖します。この感染が持続し、自然に治癒しないグループが子宮頸がんに進行するといわれています。

子宮頸がん検査

子宮頸がんの診断には細胞診が有効です。子宮頸部をブラシでこすって細胞を採取し、顕微鏡でおかしな細胞の有無を調べます。
この検査を細胞診検査と呼んでいます。細胞診の結果はベセスダシステムに基づき分類されます。

ベセスダシステムに基づく細胞診の分類

扁平上皮細胞

結果 略語
陰性 NILM
意義不明な異型扁平上皮細胞 ASC-US
HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 ASC-H
軽度扁平上皮内病変 LSIL
高度扁平上皮内病変 HSIL
扁平上皮がん SCC

腺細胞

結果 略語
異型腺細胞 AGC
上皮内腺がん AIS
腺がん Adenocarcinoma
その他の悪性腫瘍 other malig.

子宮体がん

子宮体部に発生するがんが子宮体がんで、最近我が国の成人女性に増えてきているがんのひとつです。
そのほとんどは、子宮体部の内側にあり卵巣から分泌される卵胞ホルモンの作用をうけて月経をおこす子宮内膜という組織から発生し、子宮内膜がんとも呼ばれています。

どのような方が子宮体がんになりやすい?

出産経験のない方、肥満、高齢、高血圧、糖尿病の方。
乳がんや卵巣がんの既往などが危険因子として知られています。

子宮筋腫

子宮筋腫は良性の腫瘍でそれ自体が生命を脅かすものではありません。しかし放置しておきますと10kgを超えるような大きさまでになることもあります。貧血になることもあります。
女性ホルモンによって筋腫が大きくなりますが、逆に閉経後には小さくなります。複数個できることが多く、数や大きさはさまざまです。大きさやできた場所によって症状が違います。
できた場所によって、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)に分けられています。
代表的な症状は月経量が多くなることと月経痛です。その他の症状としては月経以外の出血、腰痛、頻尿(トイレが近い)等があります。
症状は、できた場所によってまちまちですが、子宮の内側にできた筋腫は小さくても症状が強く、月経量が多くなります。
逆に子宮の外側にできた筋腫は相当大きくなっても症状がでません。治療法もできた場所や症状によって異なります。

診断方法

小さな筋腫は見つけにくいこともありますが、内診と経腟超音波で診断できます。大きな筋腫や手術を考える場合にはMRI検査をすることもあります。
大きな筋腫ではまれに悪性の子宮肉腫が含まれている場合があります。子宮肉腫と子宮筋腫を見分けることは難しく、大きさや患者さんの年齢、大きくなるスピードで判断します。
定期的に健診や婦人科外来で経過観察の検査を受けましょう。

卵巣嚢(のう)腫、卵巣腫瘍

卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常では2~3cmぐらいの大きさです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍であり、大きいものでは30cmを超えることもあります。
卵巣腫瘍には様々な種類がありますが、その発生起源から表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。
卵巣腫瘍の症状には腹部膨満感(お腹が張って苦しい)、下腹部痛、頻尿などがありますが、小さいうちは無症状で経過することが多く、大きくなったり腹水がたまったりしてから症状が出現することが多いのです。
時に腫瘍が破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあります。

診断方法

問診に続き、内診と経膣超音波検査が行われ、卵巣腫瘍の有無を診断します。また、これにより良・悪性の診断もある程度可能です。
超音波検査により腫瘍が嚢胞性(ふくろ状)の場合の多くは良性腫瘍(卵巣嚢(のう)腫)ですが、充実性部分(かたまりの部分)と嚢胞性部分が混在する場合や全体が充実性の場合などでは悪性腫瘍や境界悪性腫瘍を疑います。
さらに詳しく調べる必要があると判断された場合、MRI検査や腫瘍マーカーの測定が行われます。

月経前症候群

月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。頭痛、頭重感、胸が張る、イライラする、便秘、下腹部痛、むくみなどの症状があります。
排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。
この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、月経前症候群の原因と考えられています。治療法は排卵抑制療法(排卵を抑える治療法)、症状に対する対症療法としては鎮痛剤、漢方薬などがあります。

日常生活に差し支えがある方は、婦人科外来を受診し、専門医にご相談下さい。

更年期

閉経とは卵巣の活動性が次第に低下し、ついに月経が永久に停止することを言います。一般的には12ヶ月以上月経が来ないと閉経としています。
閉経前後の5年間を更年期と呼び、この期間に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを更年期症状と呼び、その中でも症状が重く日常生活に支障を来すものを更年期障害と呼びます。
更年期障害の主な原因は卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下で、これに年齢に伴う体の変化と精神・心理的な要因、社会文化的な環境因子が複合的に影響することで症状が出ると考えられています。

更年期障害の症状

  • 自律神経失調症状:のぼせ、汗、寒気、冷え症、動悸、胸痛、息苦しさ、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい
  • 精神症状:イライラや怒りっぽいなどの情緒不安定、抑うつ気分
  • その他:腰痛や関節痛、嘔気や食欲不振、皮膚の乾燥感やかゆみ、尿が近く外陰部の不快感

これらが他の病気の症状ではないことが条件になります。

治療法

  • ホルモン補充療法:HRT(少なくなった卵胞ホルモン(エストロゲン)を補う治療法)
  • 漢方薬
  • 向精神薬(心療内科や精神科で処方されます)

日常生活に差し支えがある方は、婦人科外来を受診し、専門医にご相談下さい。

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